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横浜地方裁判所 昭和61年(わ)2740号 判決

本店所在地

千葉県宮崎町一丁目九番八号

株式会社丸嘉

(右代表者代表取締役 後関市朗)

本籍

横浜市西区平沼一丁目五六番地

住居

同市中区山手町一一九番地の四

会社役員

後関修三

大正一〇年八月一〇日生

右被告会社及び被告人に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は、検察官中嶋三雄出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告会社株式会社丸嘉を罰金二四〇〇万円に、被告人後関修三を懲役一年に各処する。

被告人後関修三に対し、この裁判の確定した日から三年間右の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社株式会社丸嘉は、千葉市宮崎町一丁目九番八号に本店を置き、港湾運送事業等を営むもの、被告人後関修三は、同会社の代表取締役(昭和六〇年四月一五日辞任)として同会社の業務全般を統括するものであるが、被告人後関は被告会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、人件費を水増し計上する方法により所得を秘匿したうえ

第一  昭和五六年六月一日から同五七年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九六九二万六七二六円あったにもかかわらず、同五七年七月三〇日、千葉市新宿二丁目六番一号所在の千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四三五万七四三四円で、これに対する法人税額が五〇一万六四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三九六九万五四〇〇円と右申告税額との差額三四六七万九〇〇〇円を免れた

第二  昭和五七年六月一日から同五八年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が八三六七万四五五九円あったにもかかわらず、同五八年八月一日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が一四〇八万四四六二円で、これに対する法人税額が四八九万九六〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額三四一二万七四〇〇円と右申告税額との差額二九二二万七八〇〇円を免れた

第三  昭和五八年六月一日から同五九年五月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が九五一六万〇四六五円あったにもかかわらず、同五九年七月三一日、前記千葉東税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四四〇万二三五〇円で、これに対する法人税額が九五三万五四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もって不正の行為により同会社の右事業年度における正規の法人税額四〇一七万三六〇〇円と右申告税額との差額三〇六三万八二〇〇円を免れた

ものである。

(証拠の標目)

判示全事実につき

一  商業登記簿謄本

一  検察官他四名作成の合意書面

一  法人税の納付状況照会に対する回答書

一  売上調査書、賃金調査書、給料調査書、旅費交通費調査書、福利厚生費調査書、交際接待費調査書、消耗品費調査書、地代家賃調査書、支払手数料調査書、雑費調査書、受取利息調査書、交際費損金不算入調査書、役員賞与損金不算入額調査書、事業税認定損調査書

一  福岡榮、鈴木司、安中博、萩原弘子、佐藤栄子、後関すみ江、後関都知美、石橋仁義、佐藤日出夫、山崎舒弘、大滝栄三、岡村敏章、本間昭四郎、佐々木和夫、原崎章、関根政幸、松尾久人、後関寿子、森田温子、後関修、宮岸男、小柳光、内藤安彦の大蔵事務官に対する各供述調書

一  後関市朗の大蔵事務官に対する各供述調書

一  被告人後関修三の大蔵事務官及び検察官に対する各供述調書

一  被告会社代表者の当公判廷における供述

一  被告人後関修三の当公判廷における供述

判示第一の事実につき

一  税額計算書(甲三)

一  押収してある法人税確定申告書一袋(昭和六二年押第一九一号の1)

判示第二の事実につき

一  税額計算書(甲四)

一  押収してある法人税確定申告書(前同号の2)

判示第三の事実につき

一  税額計算書(甲五)

一  押収してある法人税確定申告書(前同号の4)

(被告人後関修三の確定裁判)

被告人は、昭和六〇年一一月二九日横浜地方裁判所において贈賄の罪により懲役一年二月(三年間執行猶予)に処せられ、右裁判は同年一二月一四日確定したものであって、右事実は、検察事務官作成の前科調書及び右判決の判決謄本によって認められる。

(法令の適用)

一  罰条 被告会社の判示各所為につき法人税法一五九条一項、一六四条一項

被告人後関の判示各所為につき同法一五九条

一  刑種の選択等 被告人後関につき判示各罪につき懲役刑選択

被告会社の罰金額につき法人税法一五九条二項

一  併合罪の処理 被告会社につき刑法四八条二項

被告人後関につき刑法四五条後段、五〇条、四五条前段、一〇条(犯情の重い判示第一の罪の刑に法定の加重をする。)

一  執行猶予 被告人後関につき刑法二五条一項

(裁判官 森眞樹)

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